ヨーネ菌感染はクローン病患者の骨バイオマーカ・レベルと骨粗鬆症に関係する

クローン病においては骨粗鬆症が起きやすいとされています。クローン病という病態に関連しているのか、副腎皮質ステロイド剤の使用が起こしやすくしているのかなどが考えられていますが、骨粗鬆症の骨の脱カルシウム現象を調整する生物マーカーの動きを調べた研究です。

背景
クローン病(CD)の患者では、オステオカルシンレベルが低下して骨粗鬆症になるリスクがそうではない人に比べてリスクがより高い。
我々はヨーネ菌感染後のアクティブな炎症がクローン病患者やヨーネ病感染した牛のモデルから(ヨーネ病菌)におけるundercarboxylated osteocalcin (ucOC)の上昇とオステオカルシン(ucOC)が上昇が起こると我々は仮定する。

材料と方法
この研究において、我々は42匹の牛(ヨーネ病牛21例と健常な牛21例)、18例のCD患者と20人の対照から得た血清中のucOC、活発オステオカルシンとカルシウム・レベルを測定した。

結果
ヨーネ菌感染牛のucOCレベルは318±57.2nmol/mLで、対照例では289±95.8nmol/mLで有意に高かった(P > 0.05)のです。
そのため、ヨーネ菌感染牛のカルシウムレベルは9.98±0.998mg/dLであるのに対して非感染牛では7.65±2.12mg/dLと有意に高かった。(P < 0.05)。
また、ucOCのレベルは、ヨーネ菌陽性患者では561±23.7nmol/mLでヨーネ菌陰性のクローン病患者の285±19.6nmol/mLよりも統計的有意に(P < 0.05))高かった。。
興味深いことに、ヨーネ菌陽性牛の平均オステオカルシン・レベル(797±162pg/mL)はヨーネ菌陰性牛のより低かった(1190±43pg/mL)。ヨーネ菌陽性クローン患者(1.89±0.184ng/mL)よりもヨーネ菌陰性クローン患者の平均(2.19±0.763ng/mL)よりも有意に低かった(P < 0.05)。

まとめ
ヨーネ菌感染と血清ucOCの上昇と活性化オステオカルシンの低下との間の相関関係は、クローン病におけるヨーネ菌感染の役割と骨粗鬆症の合併を説明するものである。

原著論文

Can J Physiol Pharmacol. 2018 Jul;96(7):662-667. doi: 10.1139/cjpp-2017-0700. Epub 2018 Apr 11.

オステオカルシン (osteocalcin : OC) は骨の非コラーゲン性タンパク質として25%を占めるタンパク質である。 骨芽細胞のビタミンK依存性カルボキシラーゼによって、タンパク質のγ-グルタミン残基に炭酸イオンが付加されたもの。(Wikipediaより引用)


オステオカルシンは、2007年にコロンビア大学のジェラルド・カーセンティ教授が発見。このホルモンは様々な臓器を活性化する働きがあることがあるそうです。

図の引用元 https://www.selfhacked.com/blog/osteocalcin/

脳・・・・神経細胞の結合を維持し記憶・認知機能を改善
膵臓・・・膵臓機能を活発にする
肝臓・・・幹細胞の代謝を向上させ肝機能を向上
心臓・・・心臓機能の活性化、動脈硬化の予防
小腸・・・糖などの栄養吸収促進
精巣・・・男性ホルモンを産生を高める
腎臓・・・骨由来FGF23(ホルモン)を介して腎機能を向上
皮膚・・・皮膚組織と同様のコラーゲン産生を高める。

VA Research Program Summary
College of Medicine, University of Central Florida