ニュージランドから輸入されたヒツジからのヨーネ菌分離(日本)

ヨーネ病の主たる感染動物は反芻動物の牛と緬山羊です。
日本のヨーネ病の防疫は国際的にも最も良い状況にありますが、その一つが動物検疫所による厳密な検査です。ヨーネ病は潜伏期間には診断をすることがとても難しい場合があります。検疫を通過後数ヶ月後に国内の農場での検査に引っかかるということを聞いたことがあります。

「動物検疫所」の画像検索結果この論文は動物検疫所でヨーネ病の症例に遭遇したことを農林水産省動物検疫所検疫部の後藤真理子さんらが報告したものです。

(論文の要旨より引用)
ニュージーランド産めん羊の輸入検疫中に、糞便のリアルタイム PCR 検査でヨーネ病患畜 1 頭を摘発し、自衛殺処
分した。摘発個体の糞便から 0.03~0.163pg/2.5µl のヨーネ菌 DNA が検出され、回腸~盲腸と付属リンパ節から最大
で 14.3pg/2.5µl が検出された。MGIT 液体培地を用いた臓器材料の培養検査では 6 週目から抗酸菌が認められ、ヨーネ菌 DNA 量も 200~ 600pg/2.5µl へと増加し、菌の増殖が確認された。
分離株は IS1311 の RFLP 解析により羊型菌と同定された。ハロルド培地では材料の初代培養で菌は分離できず、継代培養においては 10% CO2 存在下での発育促進効果が認められた。病理学的には菌の分離部位に一致して類上皮細胞主体の肉芽腫性回腸炎が認められ、病理検査と菌分離により確実な診断ができた。めん羊のヨーネ病診断には遺伝子検査と液体培地による分離培養が高感度で有効であった。

原著論文はこちらから読めます。
日獣会誌 69,678~ 683(2016)

CMRIからのコメント
国民からは見えないところで動物研関所の獣医師のみなさんが高い技術で日本の畜産と食の安全を守っていることをぜひ知ってもらいたくご紹介します。万が一、諸外国からヨーネ病の動物が入り込んだら清浄化の努力が水泡と化します。

「羊  イラスト フリー」の画像検索結果

検疫所の写真はhttps://hamarepo.com/story.php?story_id=3304 より引用しました。