新型コロナウイルス感染症の感染を防ぐフェイスマスク:系統的レビューとメタ解析(文献紹介)

CMRI代表理事ということで、多くの方がマスクが新型コロナウイルス感染に役立つのか?役立たないのではないかと問いかけをしてこられます。私個人は空気感染や(飛沫核感染)や飛沫感染を起こしうる、呼吸器から咳やくしゃみで排泄されるウイルスの感染防御にはマスクしか無いと思ってきましたが、これに関する多くの論文の報告結果を総合的に整理した論文をご紹介しておいたほうが良いと思いました。論文の紹介です。

新型コロナウイルス感染症の感染を防ぐフェイスマスク:系統的レビューとメタ分析
Yanni Li MPHら American Journal of Infection Control、Volume 49, Issue 7, July 2021, Pages 900-906

背景と要約
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的パンデミックの状況に基づき、公衆衛生を新型コロナウイルス感染症から守るためのマスク着用の有効性を体系的に評価することが緊急に必要とされています。

2019 年コロナウイルス感染症 (COVID-19) は世界的なパンデミックであり、世界中で公衆衛生上の大きな負担となっています。すでに脆弱な医療システムにより、多くの長期的な影響が及ぶ可能性があります。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2 (SARS-CoV-2) は、濃厚接触や人から人への感染によって感染し、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) を引き起こします。現在までに、いくつかの研究で空気サンプリングからウイルス RNAが発見されています。当面は、安全で効果的なワクチンや治療法が利用可能になるまで、新型コロナウイルス感染症の予防は、地域社会におけるパンデミックの緩和など、非薬理学的介入に依存し続けることになるだろう。したがって、マスクやマスクなどの個人用保護具(PPE) が、SARS-CoV-2 の蔓延を防ぐかの評価は重要です。

マスクにはさまざまな規格があり、認定されたマスクは厚さと透過性が異なりますが、大量の飛沫からユーザーを保護するのに役立ちます。N95 マスクは、エアロゾルを含む空気中の小さな粒子からユーザーを保護するように特別に設計されています。サージカルマスクと非換気の KN95 マスクは、会話時と咳時の外部への粒子の放出率をそれぞれ平均 90% と 74% 減少させることが明らかになっています。予防と制御において新型コロナウイルス感染症の影響で、個人防護具(PPE) を正しく使用することは、SARS-CoV-2 の蔓延を効果的に阻止し、医療従事者やその他の医療従事者以外の人々の安全を守るための最も重要な対策の 1 つです。

呼吸器ウイルス感染(RVI)の予防に対するマスク着用の効果に関する推奨事項は、多くの研究によって確認されています。メタアナリシスでは、重症急性呼吸器症候群の蔓延が減少していることが判明した(SARS; OR = 0.32; 95% CI: 0.25-0.40)。最近の別のメタ分析では、医療従事者と非医療従事者によるマスクの使用により、検査で確認された呼吸器ウイルス感染のリスクがそれぞれ80% (95% CI: 0.11-0.37) と 47% (95% CI: 0.36-0.79) 減少することがわかりました。

他の呼吸器ウイルス感染症と比較して、新型コロナウイルス感染症に対するマスクの防御効果には、関連する包括的な証拠がまだ不足しています。したがって、SARS-CoV-2の感染を防ぐためのマスクの使用の有効性を評価するために、系統的レビューとメタ分析を実行しました。

方法
この系統的レビューを報告するために、系統的レビューおよびメタ分析の推奨報告項目に関する声明が参照されました。私たちは、SARS-CoV-2の蔓延を防ぐためのフェイスマスクの使用の有効性を評価するために、系統的レビューとメタ分析を実施しました。関連する論文は、PubMed、Web of Science、ScienceDirect、Cochrane Library、および Chinese National Knowledge Infrastructure、VIP (中国語) データベースから検索されました。言語制限はありませんでした。この研究は、番号 CRD42020211862 で PROSPERO に登録されました。

結果
合計 5,178 件の適格な論文がデータベースと参考文献で検索された結果、4 か国が関与する合計 6 件の研究が含まれました。一般に、マスクの着用は、新型コロナウイルス感染症のリスクの大幅な低下と関連していました(OR = 0.38、95% CI: 0.21-0.69、I 2  = 54.1%)。医療従事者グループでは、マスクにより感染リスクが 70% 近く減少することが示されました。感度分析により、結果が堅牢であることが示されました。

結論
この体系的レビューとメタ分析の結果は、マスクの着用が新型コロナウイルス感染症のリスクを軽減できる可能性があるという結論を裏付けています。これらの介入の証拠をより適切に提供するには、将来的にはしっかりしたランダム化試験が必要です。

詳しいことや引用論文は原著を参照してください。
American Journal of Infection Control, Volume 49, Issue 7, July 2021, Pages 900-906
https://doi.org/10.1016/j.ajic.2020.12.007


この論文とは別に、こういったデータも参考になるでしょう。
デルタ株」感染防ぐには…不織布マスクをうまく使おう:東京新聞 TOKYO Web

◆鼻との間の隙間に注意
理化学研究所などの研究チームは6月、市販のマスクの性能実験の結果を発表しました。メンバーの豊橋技術科学大の飯田明由あきよし教授が、人間の呼吸のように飛沫を吹き出すマネキン形の実験装置にマスクを着け、どれだけ飛沫を捕集できてどれだけ漏れるか、を実測しました。
同じ素材でも製品によって性能の幅があるので、各素材ごとに10~60種類の製品を調べて平均値を出しました。
その結果、不織布マスクは吹き出しの8割、吸い込みの7割を抑えました。しかし、鼻の部分に形を合わせる針金を折り曲げずにマスクを着けて、鼻との間に隙間ができた「ルーズ」状態の場合は、折り曲げて隙間がない「フィット」より効果が1~2割下がり、布マスクに近い値になりました。
またウレタンマスクは、吹き出しを5割抑えましたが、吸い込みは2割にとどまりました。
◆針金をW字形に
チームリーダーの坪倉誠・神戸大教授は「ウレタンの性能が低いのは事実。不織布マスクは捕集性能がよいが、顔との隙間があると、空気が漏れて性能が出ない」と話します。着ける前に鼻の針金をW字形に曲げるのがポイント。そのうえで鼻、ほお、あごを隙間なく覆います。坪倉さんは「ピタッと密着させられるなら不織布がいい」と言います。
マスクを着けるとき鼻、ほお、あごの部分にすき間ができると十分に効果が発揮できない(写真上の○印)。マスクの鼻の部分をW型に折ると密着しやすい
マスクを着けるとき鼻、ほお、あごの部分にすき間ができると十分に効果が発揮できない(写真上の○印)。マスクの鼻の部分をW型に折ると密着しやすい

国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一さんも2月、マスクの性能の実験結果を発表しました。マスクの素材で上部を覆った筒の中へ空気を吸い込み、飛沫をどのくらいの割合で除去するか計測しました。調べた製品では、不織布は飛沫の9割以上の吸い込みを抑え、ガーゼやポリウレタンはやはり性能がかなり下がりました。
「不織布マスクで性能表示が、PFE(微粒子ろ過効率)とBFE(細菌ろ過効率)がいずれも95%以上のものなら、まずは大丈夫ではないか」と西村さんは話します。
夏は過ぎましたが、マスクがつらいと感じる暑い日も。西村さんは、マスク着用の留意点を「散歩などで周りに人がいない時は外し、人のいる場所ではビシッと着けてメリハリをつけること」と語ります。

◆子供には不織布+ウレタン
新学期が始まった子どもに、どのマスクを着けさせたらいいでしょうか。小児科医の森内浩幸・長崎大教授は「大人用の不織布マスクを着けた上に、子ども用のウレタンマスクを重ねてフィットさせることを勧めている」と話します。坪倉さんは「ぴたりと着けるのが難しい子どもの場合は、ぶかぶかの不織布マスクを着けるより、顔に合った形の布マスクを着ける方がよっぽど効果がある」と指摘します。
また、坪倉さんは「いまも街中で鼻を出してマスクをする人を見掛ける。マスクはきちんと着けることが大事」と強調します。デルタ株は、従来株より少量で感染を引き起こすといわれます。
吸い込むウイルスの量を抑えることが感染を防ぐ大きなポイントです。マスクを上手に着用することが個人で確実にできる対策といえます。
理研チーム制作の動画「つけ方次第で効果が上がる! マスクのより良いつけ方」は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で見られます。
東京新聞のデジタル記事を引用
https://www.tokyo-np.co.jp/article/130665