炎症性腸疾患とヨーネ菌の関連性(オーストラリア)

2016年の論文です。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のTimmsらはクローン病(22例)、潰瘍性大腸炎(20例)、アフタ性潰瘍(21例)そして炎症性腸疾患(IBD)ではない腸疾患の患者さんの腸組織(42例)からのヨーネ菌遺伝子の検出をPCR法で実施しました。このPCR方は牛からの検出ですでに確立されている方法です。菌の培養も行われました。

クローン病と潰瘍性大腸炎患者のヨーネ菌陽性率は同じ年齢、性別の非IBDの患者と比較されました。
PCRについては3回行われた検査の全てが陽性であるものを陽性と判定しました。

結果として、クローン病患者とヨーネ菌DNAの検出結果に統計的相関関係(P=0.02)が認められたが、性別、出身地、喫煙やアルコール摂取とは関連していなかった。潰瘍性大腸炎やアフタ性潰瘍との相関関係は認められなかった。

ヨーネ菌分離は潰瘍性大腸炎患者由来の一例のサンプルから菌分離された。この菌の薬剤耐性についてお報告した。
この分離ヨーネ菌は5℃でもゆっくりと増殖した。

*この論文では3回のPCRでヨーネ菌DNA陽性となる症例がかなり多く、これは病変部にヨーネ菌生菌もしくは死菌成分が存在していることを示している。ここで用いられているPCRだけでは菌の生死判定はできないが、クローン病病変からの菌分離はされていないのに、潰瘍性大腸炎からの分離は、菌の性状とともに興味深い。

PLoS One. 2016 Feb 5;11(2):e0148731. doi: 10.1371/journal.pone.0148731. eCollection 2016.
The Association of Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis with Inflammatory Bowel Disease.
*この論文も全文を読み出すことができます。

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