かつては日本に結核とヨーネ病の混合感染が出ていました。

CMRIのブログにてアメリカのウイスコンシン大学のヨーネ病情報センターから米国の肉牛の汚染が全米で特に肉牛の腫瘍産生州でひどいことを紹介いたしました。アメリカの肉牛のヨーネ病汚染は想像以上に高かった。(アメリカ)」

日本では公的な機関が定期的に検査をしているのであまり心配はありませんが、かつては発生があちこちにありました。百溪が札幌の家畜衛生試験場北海道支場(現在の動物衛生研究所)に勤務していた時にたまたま出張していた先で遭遇した発生で、解剖時に腸粘膜の異常を発見したもので論文を作成しました。温故知新ということばがありますが、1980年代には日本でも結核やヨーネ病が発生していたことをご紹介します。

その後気を引き締めて防疫活動をしたことから結核は撲滅され、ヨーネ病は世界で最も清浄化が進んだ状況です。現在のアメリカは日本の1980年代の汚染状況とも言えるでしょう。

要約:北海道渡島管内の一地域に、肉用牛の結核病およびヨーネ病が集団発生した。患 畜は2~11才 の褐毛和種で,1980~1982年の間に結核病として50頭、ヨ ーネ病として19頭が殺処分された。結核病患畜の病理解剖学的検査に際して、50頭 中16頭にヨーネ病を疑わせる軽微ないし著しい腸管の肥厚が認められた。いっぽう、ヨーネ病患畜19頭 3頭には、肉眼的に結核病巣が認められた。細菌学的には、結核患畜50例 中47例からMycobacterium bovisが、ヨーネ病患畜19例中13例からMycobacterium paratuberculosisが 分離された。これら混合感染牛のうち4例について病理組織学的検査を行った結果、両病変の存在を確認した。
(1985年の論文です。)

詳しくはPDFファイルが公開されていますのでお読みください。
肉用牛にみられた結核とヨーネ病 の集団発生と両疾病の混合感染
真鍋伸男、浪越靖政、青木仁久、建部淑人、西原克雄、百溪英一、吉野知男

日獣会誌 38 655~660 (1985)

こちらの記事も御覧ください。

アメリカの肉牛のヨーネ病汚染は想像以上に高かった。(アメリカ)

 

*結核菌の写真の引用元はhttps://gram-stain.com/?p=936