多発性硬化症とNOSD患者の血清と脳脊髄液中にヨーネ菌抗体を証明(比較医学研究所・順天堂大学医学部)
順天堂大学医学部脳神経内科講座と比較医学研究所の共同券で新たな論文が発表されました。
Open Access
J. Clin. Med. 2018, 7(12), 522; doi:10.3390/jcm7120522
研究の背景
抗体の局所合成と脳脊髄液(CSF)中のオリゴクローナルバンドの存在は多発硬化(MS)の特徴的変化とされており診断にも用いられています。
(*オリゴクローナルバンド(OB) とは、髄液蛋白の電気泳動においてγ-グロブリン領域に幅狭く濃染した数本のバンドが出現するものを指し、MS を始めとする脱髄性疾患や中枢神経系の感染症などで高率に検出され、とりわけMS では重要な診断指針となります。)MSまたは視神経脊髄炎スペクトル障害(NMOSD)患者の脳脊髄液中の抗酸菌及びそれに関連する人の抗原エピトープに対する抗体が、患者の血清中の抗体と異なっているのかどうかを調べた。
方法
MSやNMOSDを有する42例の患者と29例の年齢および性がマッチした対照被験46例の患者から採取された血清と脳脊髄液のペアのサンプルを用いて、ヨーネ菌ペンタペプチド(MAP_5p)およびMAP_2694295_303ペプチドおよび人のミエリン塩基性蛋白質(MBP)85-98に対する特異抗体の有無をELISA法により調べた。
結果
MSにおける抗MAP_5pと抗MAP_2694295-305の血清抗体レベルは対照とNMOSD患者を比較すると非常に一般的に認められた。
MSを有する数人の患者の脳脊髄液中に検出可能な抗MAP_5pと抗MAP_2694295_303の抗体が証明された。
さらにまた、一群のMS患者では、これらのペプチドに対する抗体がくも膜下腔内に限局して産生されていることが示された。
女性はヨーネ菌ペプチドに対して男性に比較してより強い抗体応答を起こしているような結果が出た。。
抗MBP85-98に対するについてはMS患者とNMOSDの患者間に有意差が認められなかった。
考察と結論
これらのデータはヨーネ菌の人獣共通感染能を示しているかもしれない。
さらに、ヨーネ菌がMSの原因に関与していることを示唆する。
CMRIからのコメント
多発性硬化症やNMOSDの原因の全貌は不明ですが、ヨーネ菌の関与が強く疑われますから、この菌や抗原の関与からの検討や研究がもっと活発になされるべきだと思われます。さらに患者さんの血清や脳脊髄液中にヨーネ菌に対する特異抗体が検出されるということは。人がヨーネ菌に暴露されている事を示す客観的証拠なのです。
食の安全安心という観点から、この抗体を誘導している菌や抗原が食品を介して人の口に入ることは当然避けるべきだと思われます。
欧米のヨーネ菌汚染の著しい海外から、検査も何もなく食品げの原料として乳製品が輸入されていることに対して消費者は問題意識を持つべきでしょう。
参考資料
とてもわかり易いホームページの解説が読めます。ご一読をおすすめします。
NMOSD(視神経脊髄炎ししんけいせきずいえん)についてすぐわかるページです。