ヨーネ菌はクローン病、潰瘍性大腸炎だけでなく結腸直腸癌を引き起こしているかもしれない

Infect Agent Cancer. 2018 Jan 4;13:1. doi: 10.1186/s13027-017-0172-3. eCollection 2018.
Could Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis cause Crohn’s disease, ulcerative colitis…and colorectal cancer? Pierce ES.

感染症は人間の癌の原因の一つとしてとして知られています。ヨーネ菌と大腸がんの関連を示す新たな論文を紹介します。

「日本住血吸虫 free」の画像検索結果日本住血吸虫およびマンソン住血吸虫はその蔓延国において一定程度の人に結腸直腸癌を引き起こすことが知られています。
結腸直腸癌は、潰瘍性大腸炎および結腸クローン病という2つの特発性炎症性腸疾患(IIBD)の2つの腫瘍弛緩に合併にすることがあります。

 

「paratuberculosis cattle free」の画像検索結果

ヨーネ菌は家畜や野生の反すう動物に慢性腸疾患、ヨーネ病を起こす原因であると同時に、IIBDの原因として疑われています。

そのため、ヨーネ菌は家畜にヨーネ菌感染が流行していて、土壌や水中へのヨーネ菌分布が広範である国々において、IIBD関連大腸癌以外に、IIBDに合併しない大腸癌だけの発症例にの病因にも関与している可能性がある。高倍率の油浸光学顕微鏡(通常の全倍率×400ではなく倍率1000倍)を使用した場合、ヨーネ菌が散発性結腸直腸癌患者およびIIBD患者の腸内で同定に観察されている。
本研究は、腸の杯細胞に侵入して急性および慢性の杯細胞過形成を引き起こすヨーネ菌の能力を実証した。
杯細胞の過形成は過渡的な粘膜、異常な陰窩巣、杯細胞過形成性ポリープまたは過渡的ポリープなどと呼ばれる、散発性結腸直腸癌として明確に認識れる以前の発がんの初期の病理学的病変である。

それは、過粘膜粘膜、過形成様粘膜変化、鋸歯状上皮変化、扁平鋸歯状変化、杯細胞過形成粘膜または上皮過形成と呼ばれる病変はIIBDにおいてはあまり認識されていない初期の病理学的特徴である。杯細胞過形成は、古典的な結腸直腸癌経路における腺腫および異形成、鋸歯状結腸直腸癌経路における鋸歯状異形成、ならびにIIBD関連腸における平坦および上昇異形成および異形成関連病変または腫瘍の前駆病変である。

ヨーネ菌の杯細胞内への侵入がIIBDおよび散発性結腸直腸癌の初期の病理学的病変をもたらすかもしれない。

腸管におけるヨーネ菌の持続感染はIIBD関連疾病だけでなく、散発性結腸直腸癌の両方を起こしている可能性がある。

 

CMRIからのコメント:国内でも大腸がんの発生が特に高い地域があってヨーネ菌との関連を知りたいという先生もおられました。持続性の慢性感染が発がんを誘発しているという仮説は前立腺がんでも提起されています(東京医科歯科大学人体病理学教室 江石教授)。癌の多くが原因不明のままです。しかし、なる人とならない人がいる以上、明らかに原因があると考えることが大切ではないでしょうか。
大腸がんの研究グループからのヨーネ菌とのリンクの関連を調査したいという共同研究をお待ちしています。

●江石教授の関連論文
Etiologic link between sarcoidosis and Propionibacterium acnes

Intracellular Propionibacterium acnes infection in glandular epithelium and stromal macrophages of the prostate with or without cancer.