クローン病患者の生検組織中のヨーネ菌IS 900 DNAの陽性率(イラン2019)

背景:
イランのファース州で人のクローン病と牛のヨーネ病を対比させた病理組織学と分子生物学的な比較を実施した研究がなされました。もともと病理学的な類似性からクローン医師が牛のヨーネ病との関連を疑って論文に記載したのが両疾病の関連の研究の発端でした。両疾病の関連性については多くの論文がそれを示唆してきました。本研究もその一環に当たるものです。

クローン病は消化管、特に末端回腸、盲腸と結腸に病変を作るヒトの慢性腸炎である。この疾患の病因は、まだ知られていないが、多因子性のように考えられている。この報告で、反芻動物のヨーネ病とひとのクローン病の原因病原体の潜在的関連について述べている。本研究の目的はイランのFars州のヨーネ病の罹患率のため、本研究の目的は、この地域におけるクローン病患者の生検組織中のヨーネ菌の検出率を調査することです。

方法:
この研究は2015年4月から2017年6月の間にイランのシラツ大学、医学・獣医学のNamazi病院で実施された。
30例の患者の腸生検サンプルを調べた。クローン病と診断された12人の男性と18人の女性の平均年齢は34歳(4-77歳)。非炎症性腸疾患と診断された30例の患者の19人は男性で11人の女性で、平均年齢は38歳(13-68歳)。

分子生物学的手法、病理組織学的手法、病理組織化学的手法で解析された。
ヨーネ病との比較を行うために、同数のヨーネ病に罹患したヤギが同様に調べられた。
組織標本からDNAを抽出し、IS900遺伝子の413-bp配列をPCRにより増幅検出した。

結果:
IS900-PCRを使用して調べた結果、クローン病と非炎症性腸疾患の患者におけるヨーネ菌の全体の検出率はそれぞれ47と13%あった。さらに、ヨーネ病感染ヤギにおけるヨーネ菌DNAの検出率は70%であった。
抗酸菌染色の結果、クローン病患者のわずか7%がわずかに陽性だった、一方で、菌増殖が中度~高度のヨーネ病例では43%が中等度~強い陽性だった。

結論:
我々の所見はこの集団ではヨーネ菌とCDの間に著明な関連を示しており、ヒトにおけるMAP感染とCD発症の病因学的関連性をサポートするものだった。ヒト組織におけるヨーネ菌感染は種特異的な病理所見を呈している可能性があり、同様の種特異的な病変内の病原体の見え方の違いは他の人畜共通病原体でも起こる。

CMRIからのコメント
クローン病患者の腸病変から非IBD患者の腸からよりも有意に高いヨーネ菌DNAが検出されることはこれまでも報告がなされており、この報告もヨーネ菌の関与を示しているという報告である。予防医学の原則からヨーネ菌の摂取はできる限り避ける必要がある。特に乳幼児の飲む粉ミルクがヨーネ菌汚染の疑われる原材料由来である場合には注意が必要。特に家族や親族に自己免疫病の患者さんがいる場合には、乳幼児について特に注意が必要であると思います。

「School of Veterinary Medicine, Shiraz University」の画像検索結果

http://shirazu.ac.ir/en/node/1510

この論文はどなたでも全文を読むことができます。

. 2019; 19: 23.
Published online 2019 Jan 7. doi: 10.1186/s12879-018-3619-2